



山崎糀屋の糀づくり
新潟県東蒲原郡阿賀町津川にある明治元年創業の山崎糀屋、その6代目女将となる山崎京子さんがつくる糀はこだわりにあふれている。
糀は米の表面にカビの一種である糀菌を付着させる発酵食品であり、日本の食文化に古来から現代まで多大な影響を与えてきた食材であることは前回までにつづっている。
糀のおおまかな作り方は「昔ながらの天然醸造」を貫いている生産者ならどこも大差ないはずだ。

原料米を蒸した後、湿度100%に近い糀室(こうじむろ)に入れる。この時、糀室の室温はこうじ菌が活動しやすい30~40℃に設定されるのだが、発酵が進むとものすごい「発酵熱」が放射されるので、絶え間ない温度管理が必要になる。また糀室にはまる一日入れておくのだが、その間に何度も天地返しを行わなければならないので、寒い季節ならまだよいが夏の暑い時期などは重労働なんてものではない。
そうしておいて、蒸米に「もやし」(人気漫画「もやしもん」でおなじみ)と呼ばれる種菌を培養させる。これがいわゆる「製麹(せいきく)」と言われる工程だ。蒸米にこうじ菌が繁殖すると、涼しい部屋に移動して粗熱をとり、一晩おく。
山崎糀屋の原料米は、必ず契約農家栽培の新米「こしいぶき」を使う。世に出回る多くの糀は古米でつくられているという。一説には「古米のほうが菌の培養に向いている」とも言われるが、山崎さんは「普通に食べて美味しいほうが、良い糀ができるはず。というのが私の持論」と言う。
山崎糀屋のミラクルな「黄糀」

山崎糀屋の糀は、よく食品売り場で見られるものよりもうっすらと黄色がかっている「黄こうじ」だ。見ようによってはシャンパンゴールドに輝くきれいな仕上がりである。
米から作られる米こうじは大きく白こうじと黄こうじに分類される。これが穀物全体だと紅こうじや黒こうじなど9種類ほどに広がる。
山崎糀屋の黄糀は、一般のものに比べて糖度が高く旨味が強い。そのうえ熱に強く、ひと煮立ちさせたくらいではヘタレないのだという。
だから甘酒にすると違いがはっきり分かる。甘みと旨味が際立っている。

なぜそれほど他と違うのか。基本的に天然醸造でつくられる発酵食品は、それぞれが唯一無二のオリジンであり、それぞれの特徴を持つ。もともとは種菌から培養されるものだが、その家、その蔵に棲みつく酵母、空気中の乳酸菌などは「その家だけのもの」に他ならない。もともとは酒蔵だったといわれる山崎糀屋の建物、そこに棲みつく酵母と乳酸菌と選りすぐられた原材料が織りなす産物。だから発酵食品はすべてがオリジンだと言える。
ただ、それだけでは説明のつかない事象がある。
民間の某機関で行った比較検査において判明した、山崎糀屋「生黄糀」の異常な機能性数値の高さである。
まず乳酸菌の個体数。一般的な常温保存の糀は1g中に4000万個、一般的な冷凍保存の糀には6000万個という数値が出た。対して冷凍保存の山崎糀屋「生黄糀」には1g中に約1億7000万個と圧倒的な乳酸菌量なのだ。
次にカビ、酵母の個体数。一般的な常温保存の糀は1g中5000個、冷凍保存のものは400万個。発酵食品の決め手ともいえる酵母の個体数が冷凍と常温でこれほどまでに違うのも驚きだ。対して山崎糀屋「生黄糀」は1g中に4000万個の酵母。桁がひとつ違うのである。
この数値から言えるのは、いかに山崎糀屋の「生黄糀」が生きたままなのか、ということだ。
「生きた食べ物をたくさんとることが、何よりの腸活」(山崎京子さん)
こと「腸活力」において山崎糀屋「生黄糀」の圧倒的な力は数値が証明している。だからこそ全国からこの糀を買い求めるユーザーが後を絶たないのだ。
次節へ続く。


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