日本海の幸は佐渡の食のほんの一部
「佐渡の農産物は信頼できる。平均的に水準が高いし安心安全度も高い」
これは某小売店バイヤーの談なのだが実は近年、佐渡米をはじめとする佐渡島内の農産物の評価は新潟県内でも群を抜いており、多くの流通関係者が賛辞を送っている。
「佐渡といえば日本海の幸に舌鼓」のイメージが先行する。確かに日本海の荒波にもまれた海の幸は大いに佐渡の魅力ではあるが、「里の幸」「田畑の恵」にもさらに注目して頂きたい。日本一の食味と名高い新潟県南魚沼のコシヒカリがあるが、第三者評価の点では勝るとも劣らないブランド力をつけた佐渡米、佐渡産コシヒカリ。米だけじゃなく、多くの生産者が無農薬栽培を実践する佐渡産レモンや伝統のおけさ柿などフルーツも豊富。
島内に5か所ある日本酒蔵元はいずれもレベルが高く、ファンからは知る人ぞ知る美酒の島と認知されている。佐渡の酒ははずれがない。
今ではフランスの著名なナチュラルワイン醸造家が佐渡に移住し、ゼロからワインぶどうを生産し始めてすでにリリースもされている。
このように佐渡の農産文化、そしてそこから派生する食文化は、近年実に深みを帯びている。30年前は「佐渡なら社員旅行で行った」という人が多かったように、団体旅行の需要が多かった。団体で行って、カニや船盛の刺身を喰らい、ただただ大酒を飲んで帰ってくるツアー客が大部分だったといえる。そんな観光入込数はピーク時に年間123万を数えていた。今や佐渡観光は年間50万人を割っている。それだけ減少しても「意外とまだ、そんなにいるのね」と思ってしまうくらい、団体旅行の需要は壊滅的である。
しかし今、佐渡島は深みあるローカスガストロノミーの地として注目されるべき存在と昇華を遂げている。実に魅力的な動きだ。


国内第一号の「世界農業遺産」と朱鷺
佐渡といえば長年、ユネスコ認定の世界遺産登録が待望されていることは知られているところ。一方で同じ国連機関のFAO(国連食糧農業機関)が認定する GIAHS: ジアス=世界農業遺産には既に2011年に認定されている。2021年現在では世界66地域、日本では11地域が認定されているが、国内第一号の認定はなんと佐渡市である。
佐渡の農業が世界的に認められているというのは意外に知られておらず、これが佐渡の経済波及効果にもっと結びついても良いのではないかと感じる。
国内第一号の事例として佐渡がジアスに認定された理由として
- 農業生産システムに「朱鷺と暮らす郷づくり認証制度」を導入し、消費者と連携しながら島全体へ拡げていること。
- 生物多様性保全型農業と農業経済が連携し、持続的な環境保全体制を構築していること。
- 佐渡金山が風景と文化に大きな影響を与え、生物多様性と農業生産活動をはぐくむことによって、農村コミュニティを保全してきたこと。
キーワードとなっているのは「生物多様性の存在する農地の実現」である。まさに国連が掲げるサスティナブルな社会づくりに向けたターゲットといえる。単に農業の効率化や収益化の成功が評価の対象になっていない。
かつて朱鷺を絶滅させた過去を持つ佐渡にあって、こうした評価を受けている点はもっと一般レベルせ知られて欲しい。今や佐渡島に渡れば、国道沿いなどで普通に野生の朱鷺を見ることができるようになった。
朱鷺が一時絶滅した事実、そして再び繁殖し始めたことは佐渡の農業と関係が深い。絶滅の理由として、一時あった乱獲と同時に農村における環境破壊があげられ、今は朱鷺が戻ってくるなりの環境が整備されたことを物語る。田んぼが朱鷺のエサ場に他ならないからだ。
佐渡では年に2回、農地における大規模な生物調査を行っている。生物多様性のある農地はこうして生まれる。田んぼに朱鷺のエサになるドジョウが帰ってくるよう、十分な魚道を確保した取り組みなどは良い事例だ。
そして減農薬減化学肥料への取り組みは実に底辺が広い。これは事例にも出た「朱鷺と暮らす郷認証制度」の影響力もあるが、政策そのものよりも島民の農地環境に対する意識の高さが感じられる。今や佐渡の米農家の実に8割は50%減農薬・減化学肥料を実践しているという。80%減も数多い。
地元農協JA佐渡がこうした取り組みを主導しているのは大きい。農協としては農薬、化学肥料を売る立場であり、これを否定するのはなかなか勇気のいる話だ。目先の農薬、化学肥料の売上よりもブランディングによる農業復興に舵を切ったことは素晴らしく、それは確実に日の目を見ようとしている。
「佐渡の農産物は信頼できる」冒頭のバイヤーのコメントは、こうしたベースの意識の高さから生まれるものだろう。
日本海の幸ではなく、米をはじめとした佐渡の農産物を目当てに、そして自然と共存する田園を見に、観光客が佐渡を訪れる動きが増えていくことを期待したい。

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